写真: マンダラルナー2020、2021、2022年版とLetícia de Almeida 

リオ・グランデ・ド・スル州（61歳）の精神分析医、Ione Terezinha de Oliveiraは、夢に幼い頃からイメージや物語が現れ、夢の世界に魅了されてきた。目が覚めると夢の中の場面や状況に戻って、新しいエンディングを見つけようと楽しんだ。年齢を重ねるにつれ、Ioneは夢がもたらす言語とシンボルを理解するようになり、自分自身をもっとよく知るために、覚えていることをすべて書き留めるようになった。

夢日記は見た夢を記録するスペース。「心理学博士であり、Unifor（フォルタレザ大学）とUSP（サンパウロ大学）の研究員兼教授である Renata Rocha Giaxaは言う。

夢を体系的に記録すれば、夢の内容を覚えるよう鍛えられる。普段起きているときにはアクセスしない記憶、アイデア、感情、思考に触れることができる、とRenataは付け加える。

心理学者のMarion Rauscher Gallbach博士によれば、夢はそれまで無意識であったかもしれない人の別の面を引き出すという。夢日記は自己認識のためのツールになる。

「夢に没頭すると、人は内と向き合って、無意識から少しずつ届くメッセージのシンボルに親しんでいける。[カール・ユング（スイスの精神科医）は、すべての人の内面には自分の知らないもう一人の自分がいると言っているけれど、それをうまく表現しています」と、ブラジル分析心理学会ドリームセンターのコーディネーターであり、著書『夢から学ぶ』の著者でもある専門家は言う。

精神分析医、社会心理学博士、ヒューマニスト精神分析研究所所長、著書『夢の解釈』の著者であるSalezio Plácido Pereiraによれば、夢を書きとめて記憶することは、自己認識を高めて葛藤や抑圧された感情的トラウマを理解する扉を開くことにつながるという。

2009年以来、視聴覚プロデューサーで脚本家のCarollini Assisさん（43歳、サルバドール出身）は、夢を書きとめることを習慣にしている。

「『今これを書き留めないと、明日の朝には覚えていない 』と夢の中で何度も自分に言い聞かせたわ。人の名前、数字、テーマを書き留めてるの。目が覚めてから書き留めたものを読むと、面白いことに気づくのよ。例えば、夢の中にしか存在しない、現実には存在しない奇妙な人たちとかね。また、別の夢に出てきた知り合いにメッセージを送ったりもする。夢の世界は奇妙さと感覚に満ちているの」と彼女は言う。

Carollini は、2011年に日本を襲った津波みたいな出来事を夢で見たという。「津波、水没した道路、海流に流される車、浮遊する遺体、そして亡くなった祖母の夢を一晩中見たわ。目が覚めて、携帯電話にメモして、テレビをつけたら、夢で見たとおりの日本の津波の映像がニュースで流れていた。わたしは座って祈り始めた。夢は別次元への入り口であり、まだ理解していない複雑なコミュニケーションだと思う」と彼女は言う。

夢が予知として機能するという証拠はない。実際、神経科学的には、夢には現実世界で試練になる状況をシミュレートし、生存の可能性を高めるという機能がある。精神分析では、夢は欲望と恐怖の「地下世界」でもある。

精神分析学者の Salezio Plácido Pereiraは、最初は無意味に見える夢でさえ、夢を見る人の人生と深いつながりがあると言う。自分が見た夢をシェアすることに抵抗がないのであれば、夢を理解するためにその分野に精通した信頼おける専門家の助けを借りるのもいいだろう。

フォルタレザ大学のGiaxa教授によれば、自分自身が夢について語るのを聞くことで、夢のエレメントに意味を見出すのだという。「記録したイメージやストーリーは、クリエイティブなプロセスをサポートするための豊かな材料となるだけでなく、分析、心理療法で広げていくことができます。例えば、歌、映画、本、絵画、彫刻、演劇の中には、夢の記録から生まれたものが数多くあります。」

記憶とクリエイティビティ

3年前、フォルタレザ（CE）に住む詩人、コミュニケーター、編集者の Letícia Bailant（27）は、月経周期と夢を自由研究するダイアリー、マンダラルナーを使い始めた。

「マンダラルナーはあまり動かなくてもすぐに手が届くベッド脇のサイドテーブルに置いてあって、記憶の糸をなくしちゃうことはほとんどないの。言葉が自由に出てくることが多いけど、時々、ストーリーで夢を書きとめようとして詳細がわからなくなっちゃうことがある。だから、もっと一般的な言葉で詩みたいな文章にして書くようになった。そのプロセスで、新たな気づきを得たり、それまで覚えていなかった部分を思い出したりするの」と彼女は言う。

心理学者のMarion Rauscher Gallbachによれば、夢は、忘れていたエレメントから起きているときには気づかなかった面まで、あらゆる種類のメッセージを伝えうるという。夢はまた、今ある問題や葛藤を解決する助けにもなる。「夢の中のメッセージは、今起こっていることに大きく関係していますが、夢を理解するためには夢独自の象徴的な言葉を学ぶ必要があります。」

 Letíciaは、夢日記は思考や感情を整理するなどいくつかのメリットがある言う。「夢日記はわたしを今に導いて、潜在意識や無意識とつながりやすくしてくれる。

精神分析医のIoneもまた、現実から離れた時間を利用して、自分をもっとよく知ろうとしているという。「起きているときも眠っているときも、夢を見るのが大好きなの。夢の世界は現実だけど、ちょっと違う現実よね。親密で、内面的で、自分だけの現実。夢は、自分が本当は何者なのかを知るのを助けてくれる」と彼女は言う。

夢日記をつけるためのいくつかのヒント：

·        ペンや鉛筆、ノートや紙をできるだけベッドの近くに置く

·        携帯電話、タブレット、ノートなどを夢日記として使う場合、メモを取るとき以外は、夜中にこれらの機器から発せられるブルーライトがあたらないようにする

·        夢を見たいと自分に言い聞かせてから寝て、夢を見たことを思い出して書きとめる

·        目が覚めたら、興奮しないようにゆっくりと動く。そうすると、夢で見たことの詳細が意識に入りやすくなる

·        目が覚めたらすぐにメモを取り、忘れないようにする

·        目覚めたときに最初に浮かんだ単語、フレーズ、感覚、イメージを書き留め、記憶を呼び起こし、夢を思い出す

·        人、動物、数字、物、風景など、夢に登場するものすべてを記録する。人物の名前や特徴を覚えていたら、それも書き留めておく

·        夢のテーマを書き留め、夢の内容、メッセージ、感情や感覚に注意を払う

·        夢をよりよくイメージし、もっとよく知るために、夢を絵に描いてみる

·        夢は記憶と生きてきた経験からできるもの。最後のヒントは、もっと強く夢を見るために、生きることを大切にすること。

 

Bárbara Therrie著

マンダラルナーブログより