2024/11/01 23:06
夢の内容はつかみどころがない。ユング以後の心理学では、夢はただ夢を見ることでその役割を果たすと教える。というのも、夢は感情や無意識に起こっていることについて多くを明らかにしてくれるからだ。夢を無意識から意識化するためには、文化によっていろんなテクニックがある。夢を覚えておくために、いくつかのヒントがあるよ。
良い夢を見るためには、良く眠る必要がある。そのためには、刺激物や睡眠を阻害する物質を避けたほうがいい。眠気を引き起こすものも避けるべきである。一種の「一時的な脳のシャットダウン」を引き起こし、レム睡眠の時間を減らしてしまうから。
意識は、その活動に直接的かつ強調的に向けられる必要がある。眠りに落ちると自覚する少し前に、「夢を見て、思い出して、報告しよう」と考えたり、自分に言い聞かせたりするのだ。これが自己暗示の原理。このようなアファメーションによって意図を明確に名づけることで、意識を果たしてほしいタスクに向けることができる。
第二のステップは、そのタスクを実行しやすくすることだ。鉛筆とノート、ソニャリオなど、夢を書き留めるものを寝ている近くに置いておくといいよ。携帯電話などの電子機器は使わないこと。電子機器から情報にアクセスすると、目覚めたばかりの心が別のことに集中してしまい、夢の記憶の糸がすぐに切れてしまうから。メモを取るためのリソースにアクセスしやすくすることで、目覚めたときに最初にすることを書くことにする。また、目覚めてすぐに身体に多くの動きを要求することも防げる。身体と意識は密接に結びついている。身体を動かすと、思考の組織化ロジックの一部も活性化される。そのためには、目が覚めた後、数分間じっとして、夢を見ていたときの記憶だけに集中することが有効。
夢の記録を練習し始めると、多くのことをはっきりと思い出すのは難しいことが多い。でもどんな痕跡でも大切にして。たとえ細部、物体、色、感覚をひとつしか覚えていなくても、それを書き留めよう。書き留めるときは、その痕跡に集中してね。そこから夢の他の部分が浮かび上がってくるかもしれないから。もし出てこなくても構わない。次の日に続けよう。周期性に集中する。記憶力は訓練すべきスキル。夢の記憶も同じ。ヨガ哲学が何世紀にもわたって教えてきたように、人は練習したことが得意になる。思い出す練習をすればするほど、より多くのことを思い出せるようになる。忘れる練習をすればするほど、忘れることが多くなる。
最後に、物語を語ることを学ぶ。夢を覚えているということは、単に記憶力が良いということではなく、物語を語る練習をマスターしているということなのだ。ある社会では、古くから夢を語る習慣がある。今日でも、朝食をとりながら思い出を語り合う習慣を守っている家庭がある。子供の頃、私たちは語られる物語を聞くことによって、物語を語ることを学ぶ。やがて私たちは、目覚めているときの出来事を語る技術を習得する。しかし、自分の身に起こったことを話すのが難しいことがあるとすれば、夢の話のように論理的な筋道がない話をするのはもっと難しい。だからこそ、夢を夢日記に書き留めるには、日記をつけるのが効果的。日記はマンダラルナーを使ってもよし。ソニャリオを使ってもよし。寝る前に、その日にあったことを書き留めておく。短い文章でも何でも構いません。大切なのは、記憶を記録することに意識を集中すること。そして、目が覚めてから夢の記憶を書き留めるとき、「ストーリーを語る」ことを気にする必要はない。夢のイメージから連想される奇妙な事柄との因果関係を考えてしまいがちだけれど、夢はそんなふうに物事を語っているわけじゃないということを覚えておいてね。
マンダラルナー2022より Anelise De Carli著